
...Lomo LC-A+...fuji s-400
理論武装した意思は
思いがけない一撃によって破壊された
その 一撃 とは
一本のフィルム この写真
その 理論武装した意思 とは
アイツから一旦離れようかという思考
今年の鳥にはウイルスが宿るので
おおっぴらに近づけない
触れてはいけない
なんだろ
暗闇の鳥を撮る意味は
かっ
眼とファインダーの距離は遠い
シャッターの音は遠い
しゃん
実際には4秒ほどだろうが
ながくながく感じて
なにかがとろけた
この写真を見たときに
がっつん
深夜の鮮やかさが目にきた
ああやっぱりいいなアイツは
という素直な感動がきた
アイツを手放すことをやめた

...Voigtlander Bessa-R...kodak 400TX
(Summarit L5cm,f1.5)
闇の色に染まらぬ鳥は
夜にこそ映える
限りなく黒い灰色の
空気を裂いて徘徊する
真暗な中
真白い鳥を見ることは
雪女を連想させる
冬の温もりの一つのカテゴリ
白い泣き声が黒に混じって響く
けたたましく動物的な声とともに
近寄ってくる
後ずさる俺
純黒の水面
この黒さはなんなんだ
夜を吸っている
水が溜め込んだ夜は恐怖
その上を滑る
白は白に見えるもんだ
真白い鳥は

...Polaroid Land 210...fp-100b
橋の向こうは
誘惑の世界なので
あちらへ行くなと言ったら
子供は拾い集めた岩のかけらを
堀に放る
堀の中の醜悪な臭いを放つ怪物に
当たらないかと
はらはらするので
やめさせると今度は
出来もしないスキップを始めた
つきあってステップを踏むのも楽しい
凍った水たまりを見つけて
割ろうとして踏んだら
つるっと転倒
尻餅で朽ちかけの地球が割れた
まったくの新しい世界が始まる

...Polaroid Land 210...fp-100b
フクロウの公園に潜り込んだ
東屋にて安堵して休む
ここへ来た証として
一枚
非常に淡泊なインスタント写真
突如
土と木の色したおじさんの
視線に絡めとられた
何をしている
そこはオレの場所ぞ
はやく退かぬか
という激しい波動
圧力の風
に負けて退場
土と木のおじさんの寝息

...Polaroid Land 210...fp-100b
あちら→へ行けという印
なぜなら看板の向こう↑は枯れた芝生の公園で
フクロウのオブジェが子供と
遊んでいるので
質量のあるものたちは
あちら→へ行って欲しい
誰に向かってのメッセージかと
考えてみたら
それは自分に向けてかもしれない
さようなら
フクロウたち→

...Polaroid Land 210...fp-100b
ムーバー = 移動体
目と手と足とつぶやきで制御する
爆発と燃焼と回転とため息で移動する
昼下がりには皆同じ彼方を目指し
収束して
みえないロープでくくられて
列になって動かなくなる
A地点のエアーを
プランBを経由して
虚無点Cへ
誰一人到達出来ないワンダードライブ
