
...Olympus XA...
絵になるベンチには坐るに限る
それでこの風景は完成するのだ
そしてその風景は客観視は出来ないので当然ながら写真には撮れない

...Olympus XA...
気持ちのよいでこぼこ道を歩いていて
水溜りがあったのでばしゃんと飛び込んだら長靴だった
長靴及ばず
ずぶずぶ沈んですっぽりと体ごと水溜りに包まれる
と言うことがあっては困るので
気持ちの良い水溜りに飛び込むのは躊躇する事にしている

...Olympus XA...
子どもが振り返らずに黙々歩く時は何かに夢中
親がそのすぐ後ろにいると分かってる安心
その積み重ねがあるからこそ
夢中になれるという
過保護かどうかは置いといて
僕は背中だけを見ない
一緒に張り合って追い越すよ

...Lomo LC-A+...
総天然色でお送りしております
一斉にスタートしようとした刹那のキャノンボーラーたち

...OlympusXA...
朝の国から弾けんばかりの元気にのって
昼の世界へ向かう勢いの良いサラリーマン
夕方には徐々にしぼんで
夜は黙ってむつむつとして帰る
のがもし事実だとしても
心は右肩上がりでいたい

...OlympusXA...
川がここまでとどまっているのは珍しい
波紋がとまどっている

...Olympus XA...
刺す
そしてはがされ
ひっついた顔

...Olympus XA...
空が高い
トラックが往きて戻りて三周目
コンテナには若い土が入っているので
どこに置いてくのかと見張っているところです

...Olympus XA...
いま
もうすぐ一年だねなんて話をすることがおおいけど
いまにして思うと
夏はなにをしてたんだろう
ふだん通りに生活したんだろうし
思い出そうとすれば細かに思い出せるそれでもふと
夏はなにをしてたんだろう
って心に浮かんでくる
三月が濃すぎたせいか
何かできることがあったのにやらなかったせいか
記憶と思いと考えは全て別物だな
と夏空の写真を見て呟いた

...Bessa-R (summarit 50mm)...
子供らは遥か遥か昔々から毎日毎日このはしを渡って
向こうのセピアのせかいへ
流転動転
大人はここまで
このはしわたるべからず
木の葉 皺足るべ 鴉

...Bessa-R (summarit 50mm)...
子供らは口々に忘れたーと言って昨日を振り返らない
大人は忘れたくとも忘れられないので忘れたーと気軽に言えない
年忘れなどと言うのは大人だからなのだよ
それはそうと
見失った子供を土手の上に見つけた

...Bessa-R (summarit 50mm)...
いつの間にか四人となった子供らを追いかける
霞の手前だったか中だったか
子供らか小さい人影らが
重なりあったり混じったり離れたりしながら行く
焚き火をしてるおばあさんに気を取られていたら
見失いそうになった
焰が目に割り込んで
たぶん見失った
家並がまるでトレーシングペーパー越し
うまくデッサンされようとしている
いや逆か
家並も子供も隠しおるのか

...Bessa-R (summarit 50mm)...
いってきますといってらっしゃいのそのあとを目で追っていた
未来も過去もなくただ歩くのもいいかもと
冬の霞に消える手前まで
そんなこと考えていた
(考えるな 感じろ)
日々の繰り返しは単調さと違う
鳩がいつでも逃げるように
または近づくように
きまぐれということ

...Lomo LC-A+...
夢の中の夢
と云うと
男の中の男
みたいな云いかたになってしまうけれど
レベルの高い夢想世界を垣間見た
牧歌的な中国的歌劇がそこから始まる

...Lomo LC-A+...
遥か遠くの白い水平が
黒いものを纏って
押し寄せる日が来るとは
この時は露ほども思わなかった
今はまた白い水平があるのだろう
今までに散々見た海を
まだあの日以来
見ていない

...Lomo LC-A+...
一目見て朝景に足を止める
二度寝の夢と現が混ざっているから
三度ため息を吐いて
完全な覚醒まで転がり落ちた

...Lomo LC-A+...
おそらく
夜半を過ぎる頃構築し始める
構築中の朝もやと雲
ずるりとした気配はつるりと
建造物は一旦骨組みまで戻って闇を撤去
朝日はただその結果を照らすのみ
影のみが闇の名残

... Nikon F2 ...
冬の空気の澄み具合
観るものすべて凍り付いた
目線も凍る
そして凍らせた光景をゆっくりと溶かすために
体の芯の熱が必要なのだ

... Nikon F2 ...
さっきまでは真っ暗だったのに
はるか遠くの雲の向こうでは
赤い朝日がまばゆく
照らしているはずで
もし雲が無ければ世界は赤く染まりきるのではないか
白い鳥は赤く染まりきるのだろうか

... Lomo LC-A+ ...
身に沁みる夜風の中
見上げると
マンションから何か生まれようとしている
ばさばさとはためく
何ものかの音を聞いた

... Lomo LC-A+ ...
真昼の光
そしてやっぱり僕の立つ今ここ
土手の向こうの世界までは知らぬ
所詮僕は傍観者
所謂傍観者

... Lomo LC-A+ ...
同じ波にみんながいっせいに走るから
真横に見ることが多くなる
時に殺されそうなほど近くを疾走する
刃物のようなエッジがくる
見てたら殺されるからはやく砂浜へ戻ることだな

... Lomo LC-A+ ...
日は強烈はダンパー波となって
男を飲み込んだ
いろいろと考えたり
悩みもあったりするであろうこの男も
そんななかではただの線なのだ
目の前の太平洋の波は小さい

... Lomo LC-A+ ...
その先はなにかとてつもないものが
つながっている
ちきゅうにつながっているんだよ
その縄を引いてちきゅうは
ずずり
動いて
日はのぼる

... Lomo LC-A+ ...
ぼこぼこした流れは
まだ僕らを受け入れる
波打ち際から
滑り続けて海に落ちて
包まれる朝

...Nikon FG...
この道をやってくる暴徒を防ぐには
いささか心許ないというたぐいの鍵
直線を僕ただ眺める
いま来るかいま来るかと
はかはかする
が眠る
鍵が破られたら覚醒
そして生ける屍の仲間

...Nikon FG...
天に唾する
侍の慟哭
飲み込む唾
かわらないそら

...Lomo LC-A+...
過剰なる原色の朝を探しおり
凍りついた何秒間は
まるで一年のごとく

...Lomo LC-A+...
朝も早けりゃあ
光はそこここ刺さる
朝の攻撃をかわした
ピース

...Lomo LC-A+...
この男
見つめる先は永劫のうねり
遠く目を細める
息を整える
走り出す
それは自分でした